風景

2003年9月11日 日常
自分はバスで通勤している。行きもバスなら、帰りも当然バス。
今日、仕事が終わりバスに乗った。
帰りのバスの中では、目的地に着くまで寝ているか、本を読んでいる。
今日は村山由佳さんの『晴れときどき猫背』を取り出す。
後少しで読み終わるところだ。
乗って、ケイタイの電源を消し、夢中になって読む。
内容や感想ではここでは書かないが、時間を忘れるくらい夢中で読んだ。
今、どこを走っているのかさえわからないほどに。

程なくして、後書きも全部読み終えたところで、ふと顔を上げた。

窓から見える夕焼けはあまりにも美し過ぎた。

オレンジ色の背景に無数の雲が広がり、影を映し出す。
まるで、ラムネのブルーハワイのような青とオレンジが混ざり合って、紫色の美しい空を奏でる。
白と灰色とオレンジと青のコントラストとグラデーションは一瞬の美しさを創り出した。

何気なく見た空で自分は感動してしまった。

こういうふうに空を見て感動する事って、そうそうあることじゃない。
でも、そういうことを感じる心って、他の人たちは持っているだろうか。
すごく贅沢な、一瞬の芸術品が目の前にあるのに、こんなに身近にあるのに、それに対して目を向けている人はいなかった。(少なくともバスの中には)

単純な理由で感動できるっていうのはすごく幸せな事だと思う。
深く考えずに素晴らしいものに『素晴らしい』って言える。これほど幸せな事はない。

高校生の頃、部活が終わって遅くなると、帰り道の途中にあった跨せん橋を自転車で駆け上がって、てっぺんから眺める風景が楽しみだった。
夕焼けに映る建物だったり、暗闇の中で照らされる街灯だったり。

それは自分だけの楽しみだった。

なんて言えば良いかわからないけど、良いものに対して心から賞賛できる、この何気ない事が大事なんじゃないかなと思っている。

何かに生かすとか、スキルアップとか、そういうレベルじゃなく、それ以前の、人間として当たり前の部分。
とにかく、そういうことなんだと思う。

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